介護は「社会問題」なのかという問いから始めたいと思います。高齢者の介護は、少子高齢社会における「社会的課題」だと捉え、課題解決に向けた具体的な行動こそ必要とされています。
介護というテーマは、保健医療福祉に従事者にとっては新しいテーマではありません。ヒューマンケアの一分野として取り組まれてきました。医療と連携しながら行うケアの大切な要素だと思います。介護を受ける、介護をすることは、人が生きていくことに深くかかわることであり、個別性、多様性を追求することでもあるでしょう。
ICIDH(国際障害分類)が登場してから約20年後、ICIDHの効用と限界について検討され、ICF(国際生活機能分類)が登場しました。その間、保健医療福祉の各専門職は、自ら何ができるのかと問い続け、問題の特定、アプローチ方法、根拠と効果、倫理性等を検証してきました。結果、多くの高度な理論や技術が開発されました。
同時に、ケアとは何かと問い続け、ケアとキュア、医学モデルと生活モデルの効用と限界をはじめとした多くテーマを掲げ議論してきました。その結果、人間をケアするためにはヒューマンケアとしての統合が必要であるとの結論に至りました。
2001年にWHOから発表されたICFはヒューマンケアの新しい概念として評価されています。ICFは、人が主人公として主体的に生きることを前提とし、人と環境の相互作用に注目しています。介護を「問題」ではなく、「生活課題」としてとらえ、達成可能な目標を自ら設定して解決してけるようなケアのあり方を提案している点に注目していきたいと思います。
一人の人をケアするためには、ケアされる人を課題解決に向け取り組む存在として認識すること、更に、多くの専門職による連携・協働が必要です。ケアマンジメントという手法も定着しつつあります。
社会福祉の根拠は、長らく生存権に求めてきました。そのため、社会福祉は特定の人を対象にしているという印象が根強いことでしょう。現在、幸福の追求権に根拠を求め、全国民を対象としています。つまり、一人ひとりが尊ばれ、他者の利益を侵害しない範囲において、自らの幸せを求める権利が社会福祉の根拠になりつつあます。もちろん、社会が逆行しないように、生存権はいつの時代も大切だと考えられています。
超介護とは、最低限のケアではなく、人としてより良く生きるためのヒューマンケアの在り方を模索するプロセスだと考えます。
人が生きるとはどういうことなのか。人は何のために人を支援するのか。人が人を支援するとはどういうことなのか。これらの問を続けることがケア文化の創造につながっていくと思います。さまざまな利害対立がもたらす葛藤をどう乗り越えていくのか。相互理解と相互協力の重要性を理解しつつも、立場を超えて行動することは意外に難しいことです。必要なことは、其々の現場を持つ実践家として統合に向けた行動を起こすことではないでしょうか。双方向のコミュニケーションを図りながら、人間が生きることへの支援の屋台骨となる文化を創造していきたいと考えております。それは、課題解決に向けて歩みを続けている実践現場からの発信であるべきだと思います。